クロウの目標:義兄弟パロ

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 それはとても小さな小さな命だった。その小さな命と出会ったとき、見つけたという思いとここで死んじゃ駄目だという思いが生まれ、俺はその小さな小さな命に向かって声をかけていた。
その小さな命は俺の声に反応するかのように俺を探しているように見えた。だから、俺はその小さな命に向かってずっと声をかけていたんだ。
その後、事故で親族を一気に失い、施設に入れられるかもしれなかった俺は、その小さな命と一緒にある人の弟として引き取られた。

「リィン~~~!!」
俺は大事な大事な弟のリィンを抱きしめた。
ずっとそばにいたくても、学校にはいけと言われ、その間はリィンとは一緒にいられない。
「クロウにぃ、おかえり~」
「俺の癒やし……リィン」
学校に行っている離れ離れの時間を補うように、ぎゅっと強く抱きしめるとリィンも同じようにしてくれる。
本当に、大事な大事な俺の弟のリィン。出会った頃は本当に小さくて、今にも消えてしまいそうな命だった。安定してからも身体が弱くて何度も死の淵を彷徨っているリィンだけど、いつも諦めずに対応してくれる担当医の先生や看護師さんには感謝している。
一番頑張ってるのはリィンだと思ってる。何度も何度も俺たちのところに戻ってきてくれるのだから、一番強いんだろうと、俺は思っている。
俺はリィンの手を握って声を掛けることしか今はできないけれど、将来は俺でもリィンを助けたいから、リィンのために医者の免許を取得するのが最優先となった。医者になるつもりはないけれど、免許を持ってさえいれば、リィンが苦しんでるときに今以上のことができる。
その後のことは正直今の所わからないけれど、今はリィンのために医師免許取得を目指すことだな。
俺たち二人を揃って引き取ってくれた兄とは良い成績を残せと約束してる。そのために今は必死で勉強してる。リィンのために医師免許を取るために──。

サイト掲載日 [2020年2月24日]
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