dancing on the road

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 クロウに腕を引っ張られる形で街道に出て、トリスタから少し離れた平原にやってきた。
途中魔獣もいたけど、クロウ一人で倒してた。さすがだよなぁ。かっこいいなぁって思ったけど、口に出したら調子に乗るから言わない。
平原に来ると、そこには帝国解放戦線のメンバーもいて、クロウの方を見る。
「今日はここで花見、しような?」
花見と言われて、一瞬何のことかと思ったけど、周りを見渡すと、ライノの花が満開で、すごく綺麗だった。
「綺麗だろう?」
そう問われて、素直に頷く。
クロウは俺の頭を撫で、笑顔を向けてくる。
「うん、綺麗だ。ありがとう、クロウ」
「あぁ」
そう言うとクロウは抱き寄せて強く抱き締めてきた。
俺もお礼を込めて、クロウを抱き締め返した。その様子を見ていた解放戦線のメンバーが呆れてたとか知らない──。

その後は、みんなで用意した昼食を食べ、何故かいつの間にか酒盛りが始まっていた。それがメインだろうから、別に止めないけど。
俺は遠慮したけどな。
クロウは、俺を後ろから抱きしめながらお酒を飲んでいた。
最初は止めたけど、今日ぐらいはいいだろうって言われて、止めてもやめないだろうなって思ったから止めるのをやめた。
「リィン、それくれ」
「これ?」
俺がつまんでいたサンドイッチと同じのを取ろうとしたら、違うと言われ、それじゃなんだよって思っていたら俺が食べていたサンドイッチをそのままパクリとクロウに食べられたかと思うと、そのまま唇にクロウの唇が重なって、俺は止まってしまう。
「ん、うまいな」
「……クロウ、恥ずかしいんだけど……」
「別にいいじゃねぇか。どうせ気にしねぇよ」
「俺が気にする……」
恐らく顔真っ赤になってるだろうな。
本当に恥ずかしい。
「かわいい」
そう言うと、クロウが強く抱き締めて、キスを送ってくる。
俺恥ずかしさで死ねる気がする。でも、普段はこんなふうに過ごせないから、たまにはいいかと思い、俺もクロウを抱き締め返す。俺も普段はさみしいのだから──。
クロウは俺の頭を撫でたり、キスをしてくる。
もしかして酔ってる?と思ったが、クロウはたしかお酒に強かったなと思い出した。
まぁいいかと思い、お返しにキスをすると、とても嬉しそうに笑って、それを見てまたキスを送る。
「やりてぇ」
ぼそりと呟かれた。
「え? いや、ちょっと待って……」
「リィン、寮に戻ってやらねぇ? お前のことだからここでやりたくねぇだろう?」
「いや、そうだけど…って、なんでそんなことになるんだ?」
「煽るお前が悪い」
さすがに抵抗するけど、クロウが本気出したら俺なんか簡単に取り押さえられて身動き取れなくなることなんかわかりきってる。だからといって、抵抗しないってことにはならないけど。
「リィン、ここでするか、寮に戻ってからするか、どちらがいい?」
何だよ、その二択はって思う。
でも選ばないと、これはやばそうな気がする。
「……ここではやらない」
「なら、寮に戻るか」
笑顔で言われ一発殴る。これぐらい許されてもいいはずだ。
「そういえば、メンバーは……って酔いつぶれてる……?」
「あぁ、さっきから飲み比べが始まってたぞ? 勝者はスカーレットとヴァルカンってところか。まぁ、放っておいてもいいだろう」
そう言うと、俺を抱えたまま立ち上がり、スカーレットさんとヴァルカンさんと一言二言会話して、寮へと戻った。
途中、さすがに恥ずかしくなって降ろしてくれと抗議したが降ろしてはもらえず、トリスタの手前でようやく下ろしてもらえた。
寮に戻ると、クロウの部屋に連れ込まれて、そのまま押し倒されて、現在腰が痛い状態。
まぁ、たまにはいいかと思ってしまうのは、仕方がない、よな──。

サイト掲載日 [2014年3月22日]
pixiv [2014年3月21日]
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